「ホイーラーズ」 'WHEELERS' It is not different though differs.

コンパクトなBaby Alfa
Alfa Romeo MiTo 1.4 T Sport

TEXT：８３番

去る5月16日から全国のアルファ・ロメオ正規ディーラーを通じて販売されているアルファ・ロメオ ミト 1.4 ターボ スポーツ（総排気量1368cc／直列4気筒DOHC16バルブエンジン搭載／6速マニュアルトランスミッション／右ハンドル仕様）に試乗してきた。アルファ・ロメオ 8Cコンペティツィオーネにインスパイアされたといわれるスタイルが見る者に精悍な印象を与えてくれる。

デビュー前から「ベイビー アルファ」というニックネームで親しまれた（話題となった）ミト 1.4 ターボ スポーツは、現行アルファ・ロメオのラインナップの中で最もコンパクトなモデルである。しかし、セッティングの妙でスポーティさの中に重厚さを内包しているといえ、ワインディングやサーキットを攻めてもよし、ロングツーリングの友として遠方まで連れ出してもよしといった守備範囲の広さを有している。

ミト 1.4 ターボ スポーツのサスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーションビームというコンベンショナルなレイアウトになっているが、リアのトーションビームはC型断面構造になっており、非常に高い捻
り剛性を有し、スタビライザーの機能も果たしている。また、前輪／後輪のすべてにリバウンド・スプリング内蔵ダンパーを採用しており、その恩恵によって、固いスプリングを装着しつつも乗り心地を犠牲にすることなくロールを抑制することが可能になった。つまり、日常の快適性と、より次元が高いアルファ・ロメオならではといえる優れたロード・ホールディング性が両立することになったわけである。

筆者は1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを11年ほど愛用しているが、現行アルファ・ロメオを増車する際には、おそらく、ミト 1.4 ターボ スポーツ（ミラノのアレーゼにあるデザイン・センターでデザインされた点も古くからのアルファ・ファンにとって嬉しいポイント）をチョイスすることになるだろう。なお、アルファ・ロメオ ミト 1.4 ターボ スポーツの全国メーカー希望小売価格は285万円（税込）となっている。

MiToという名前は、アルファ・ロメオにとって特別な響きを持っている。当ブランドのルーツがミラノ（すなわち、Mi）にあり、ミトが生産される地がトリノ（すなわち、To） であることに由来しているのだ。イタリアを代表する2大都市の頭文字を組み合わせたネーミングは、偶然にもイタリア語で“神話／伝説”を意味しており、来年、記念すべき創立100周年を迎えるアルファ・ロメオの過去、現在、未来を結ぶ新世代のクルマとして、これほどまでに相応しい車名は無いといえるだろう。

インテリアの造形は、アルファ・ロメオ スタイルセンターが生み出した。運転席をデザインの起点として捉えた“ドライバー中心”のスポーティな空間だ。ペダル、シート、ステアリング、シフトノブが絶妙なポジションに配置されており、ドライバーはクルマを自らの手でコントロールしているという高揚感を味わうことができる。アルファ・ロメオが考える「ドライビング・プレジャー」というものがインテリアにも凝縮されているといっていい。

メーターパネルには丸型アナログ式スピードメーターとレブカウンター、高精度なマルチファンクション・ディスプレイが配置され、優れた照明によって夜間の視認性も高くなっている。握りやすくグリップ感に優れたレザー・ステアリングの3本スポーク部分は、センターコンソールと同じチタン・グレーで仕上げられ、オーディオのコントローラーも装備している。また、フロントシート内側の肩部分には、アルファ・ロメオ 8Cコンペティツィオーネと同じようにアルファ・ロメオのロゴが刺繍されている。

ミト 1.4 ターボ スポーツのパワーユニットは、直列4気筒、1368cc、16バルブのエンジンにインタークーラー付ターボチャージャーを装備し、最高出力114kW（155ps）/5500rpm、最大トルク201N･m（20.5kgm）/5000rpmを発生する。タービン・インペラーの慣性質量が小さなターボチャージャーを採用することにより、ターボチャージド・エンジン特有の不快なターボ・ラグを抑え、アクセルペダルを踏み込めば即座にレブカウンターが反応してくれるという痛快なパフォーマンスを楽しめる。ブレーキでは、フロントに直径305mmという大径ベンチレーテッド・ディスクを採用している。ブレンボ製アルミ・モノブロック対向4ポッド式キャリパー（フロント）を装備し、優れた制動力を実現している。

コンパクト・モデルにアルファ・ロメオが初めて導入した最新の「アルファ・ロメオ D.N .A.システム」をミト 1.4 ターボ スポーツが搭載している点もポイントだ。
これは、センターコンソール部／シフトノブ前にあるスライド式スイッチを操作することで、以下の3モード（D、N、A）を任意にチョイスできるというシステムだ。「D」はダイナミック・モードで、ターボ過給圧にオーバーブースト機能が働き、エンジン・トルクがノーマル時の201N･m（20.5kgm）/5000rpmから230N･m（23.5kgm）/3000rpmに増大するとともに、電動パワーステアリングのアシスト量を減らし、より ダイレクトなステアリング・フィールでスポーツ・ドライビングを楽しむことができる。「N」はノーマル・モード。
「A」はオールウェザー・モードで、滑りやすい路面でのドライビングに効果的だ。

アルファ・ロメオ D.N.A.システムは、エンジン制御、ステアリング・パワーアシストに加え、VDC（ビークル・ダイナミック・コントロール／主に4輪のスキッドを個別にコントロール）の作動マナーも変化させる。危険回避時などにドライバーの操作をアシストしながらも、アルファ・ロメオ独自の卓越したロード・ホールディング性を損なうことなく、状況に応じて補助するにとどまる点を特長としているわけだ。
つまり、主役はあくまでもクルマを操るドライバーであるというスタンスをアルファ・ロメオの基本理念として、すべてがセットアップされているのであった。

日本国内では、東京コンクール・デレガンス2009の会期中に六本木ヒルズ 東京シティビュー（森タワー52階）においてAlfa Romeo MiTo 1.4 T Sportの発表会が行なわれた。試乗会は、4月中旬〜下旬にかけて箱根を舞台として開催された。

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問い合わせ先：フリーダイヤル「Alfa Contact」／0120-779-159
アルファ・ロメオ公式ホームページ（日本）　http://www.alfaromeo-jp.com/
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■主要諸元■

モデル名：Alfa Romeo MiTo 1.4 T Sport